「子どもには規則正しい生活をさせたほうがよい」という考えを持つ方は少なくないでしょう。その理由の一つをマズローの基本的欲求から紹介します。
規則正しい生活は、子どもの安全の欲求を満たす!?
人間の欲求について言及する際、マズローが挙げた、以下の5つの基本的欲求が例に出されることがあります。
- 生理的欲求
- 安全の欲求
- 所属と愛の欲求
- 承認の欲求
- 自己実現の欲求
今回は、子どもにとっての「安全の欲求」に焦点を当てます。マズローの言をみると、状況を制御できるようなった大人とは異なり、子どもの「安全の欲求」が満たされる状況は異なると捉えられています。
マズローは、子どもは「予測でき法則性のある秩序だった世界を望んで」おり、たとえば、「両親の不正、不公平、矛盾などは、子どもに不安や危険を感じさせる」と述べています。また、「小さな子ども達は、少なくとも融通のきかない固定した構造をもったスケジュールや決まりきった手順があり、現在だけでなくずっと将来までも当てにできるものがあるようなところで、より良く育つようである」としています。(Maslow,1970,pp.62-63)
脳や身体の発達のために、よく眠る、よく食べることなどが推奨されるという理由ももちろん正しいとして、心理的な影響もあるといえます。

そして、子どもを完全に拒否する親であっても、子どもがその親から離れようとしない場合がある理由について、マズローは以下のように考察しています。自分に苦痛を与える親を持った子どもが抱く恐怖は、「両親の愛情を失うのではないかという恐れも表しているということは真実であるが、しかし完全に拒否された子どもでは、愛情を求めてというより、絶対的な安全や保護を求めて、憎んでいる両親にすがりついているように思われる場合もある」(Maslow,1970,p.63)。
マズローの5つの基本的欲求の階層としては、「安全の欲求」の次に「所属と愛の欲求」があります。つまり、「安全の欲求」が満たされることが優先されると考えると、親の愛情を求めるより先に、安全、安心感を求めていると捉えられます。
テクノロジーの進化によって、現代の日本社会が24時間活発に動いているなか、私達は不規則な生活になりやすい環境に置かれています。それでも、子どもに関してはやはり規則正しい生活を送るように働きかける必要があるでしょう。
Maslow. Abraham H.(1970)Motivation and Personality(Second Edition). Herper & Row(マズロー,A. H. (著)小口忠彦(訳)(1987)改訂新版・人間性の心理学—モチベーションとパーソナリティ.産業能率大学出版部)
監修・TEXT by 武内三穂


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