過激な描写もある『鬼滅の刃』は子どもが観ても大丈夫?

前回は、『鬼滅の刃』はSEL(社会性と情動の学習)として観られる要素があるとお伝えしました。ただし、注意点もあります。今回は、作品の内容と対象年齢について焦点を当てます。

映画倫理機構(映倫)の判定にも関連する、子どもの発達段階と個人差

皆さんは、映画倫理機構(映倫)による審査をご存じでしょうか?映画館で本編の上映が始まる前に、「G」「PG-12」「R-15+」「R-18+」という4つのマークが表示されて、それぞれどのような意味なのかを示す動画をご覧になった方もいるでしょう。また、「R-15+」「R-18+」のことを指す「R指定」というワードは、聞いたことがあるのではないでしょうか。4つのマークは下記を意味します。

  • G:年齢にかかわらず誰でも観覧できる/G:General Audience(すべての観客)の略号
  • PG-12:12 歳未満の年少者の観覧には、親又は保護者の助言・指導が必要/PG:Parental Guidance(親の指導・助言)の略号
  • R-15+:15 歳以上が対象(15 歳未満は観覧禁止)/R:Restricted(観覧制限)の略号
  • R-18+:18 歳以上が対象(18 歳未満は観覧禁止)/同上
    映画倫理機構(映倫)サイト「映画4区分の概要」より抜粋)

上記は、青少年が鑑賞してもよいかを判断する指標として広く使用されています。そして、この審査は下記の基準で行われています。

審査には8項目の映画分類基準があります。主題、言語、性表現、ヌード、暴力、恐怖、麻薬、犯罪。この8つに照らして、その映画がどの区分に当てはまるのか、という審査をやっています。( 映倫インタビュー:「鬼滅の刃」大ヒットで〈PG12〉に注目集まる(2020年12月),p.13)

以上の説明が掲載されている「映倫インタビュー:「鬼滅の刃」大ヒットで〈PG12〉に注目集まる」の記事にもあるように、コロナ禍に映画館の興行が制限されるなか、史上最高の大ヒットで映画業界に光をもたらした『劇場版 「鬼滅の刃」 無限列車編』は、PG-12の周知にも大きく貢献したようです。

本作には、人が襲われたり、鬼の首がはねられたり、過激なシーンもあります。皆観ているから大丈夫、アニメで過激さが軽減されるから子どもが観ても大丈夫、という簡単な話では片付けられません。『鬼滅の刃』に限らず、同様の要素を持つ映画は多数あります。この実態に、映倫はどのようなスタンスで審査を行っているのでしょうか。もう1つ、記事をご紹介します。

保護者のみなさまへ「PG12」を知ってますか?(2021年4月11日)『朝日小学生新聞』

上記の記事では、専門家が、発達段階を考慮した心理学の観点からコメントしています。以下は抜粋した一部です。

坂元章教授
発達段階にある幼児は第三者的視点がとれにくいなどのため、現実と空想の区別をつけにくく、小学校低学年まではキャラクターが実在していると思う子も少なくありません。8歳くらいまでは非現実的な描写でも自分のことにつなげて認識してしまい、身体や生命への脅威として感じることがあります。(中略)
ただし、個人差があり、同じ年齢でも受け止め方は異なります。

他にも、なぜ、子どもの鑑賞、視聴に注意が必要か、大人は子どもに対してどのような対応をするとよいかなど、具体的に書かれています。さらに、一概に描写を制限するわけではなく、映画に必要な描写があることを認めるスタンスであることも述べられています。詳しくはぜひ、上記の2つの記事を読んでみてください。

映倫の審査以外でも、たとえばNetflixでは、『鬼滅の刃』のところに「16+」と表示されています。つまり、16歳以上の視聴を推奨しています。視聴してよいか判断する指標として参考にしつつ、個人差も考慮して、どのタイミングでどのように鑑賞するかを検討してみてください。

<引用文献>
映画倫理機構(映倫)サイト「映画4区分の概要」
映倫インタビュー:「鬼滅の刃」大ヒットで〈PG12〉に注目集まる(2020年12月)『文化通信ジャーナル』2020年12月号,pp.10-13
保護者のみなさまへ「PG12」を知ってますか?(2021年4月11日)『朝日小学生新聞』

テレビアニメ『鬼滅の刃』シリーズ

Netflix、U-NEXT、ディズニープラス、Hulu、Prime Video等にて配信中
対象年齢:16歳以上
公式サイト

監修・TEXT by 武内三穂

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