今回は、40年以上ラジオ番組で人生相談を行ってきた、社会心理学者の加藤諦三先生(早稲田大学名誉教授)が、1997年に「日本産業カウンセリング学会 第1回大会 特別講演」で語られた「燃え尽き症候群の心理」を文字化した記事をご紹介します。
一生懸命頑張った努力を認めつつ報われないと気づいたら、やり方を変える機会だと思うこと
加藤先生は、1938年生まれで、2026年現在88歳。これまでに書かれた何百冊という数え切れないほどの著書は、社会心理学を勉強する上で役立つだけではなく、生きるヒントが書かれてあります。YouTubeにも出演されていて、誰にでもとてもわかりやすくお話されています。
プロフィールや著書など詳しくお知りにないたい方は、加藤諦三先生の公式サイトへ
加藤先生の本や論文をいろいろと探して読んでいたところ、「燃え尽き症候群」についての記事を見つけました。
「燃え尽き症候群」という語句だけで何となく意味はわかるものの、世の中に流布されているイメージは本来の意味とはややズレているようです。以下の加藤諦三(1997)を読むと、本来はどういう意味なのかがわかり、どのような対処が良いのかを知ることができます。
加藤諦三(1997)日本産業カウンセリング学会 第1回大会 特別講演「燃え尽き症候群の心理」.産業カウンセリング研究,1(1) pp. 69-82
燃え尽き症候群は、ネガティブなイメージで捉えられがちですが、加藤(1997)には以下のように書かれています。
一生懸命にがんばって、望む結果が出なくても消耗したという人間に対して、やった努力は認める。たとえ、間違ってたとしても、「やった努力は非常に結構です。だけれどもこれは今あなたが生き方を変えろというメッセージですよ」というふうな受け取りかたをするのが正しいのではなかろうかと思いました。(p.79)
加藤(1997)には、
・燃え尽き症候群の定義と3つのキーワード
・燃え尽き症候群の症状や特徴
が、織りまぜられて語られています。
喩え話や具体例も大変わかりやすいです。
・「居たいところにいて努力するのではなく、居たくないのだがそこでがんばってしまうので、燃え尽きてしまうのです」(p.71)。
・自分が期待する結果を他者から得たがるのに、「相手が何を求めているか、相手を見ない」(p.72)。→「最低の父親」「最低の母親」と「最悪の父親」の説明(p.73)。
・燃え尽き症候群の人は、「ニードバリュー(必要価値)」ではなく、「アチーブバリュー(達成価値)」で満足しようとする(p.73)。
・「飴がもらえないという不満」と「飴を買ってくれないお母さんに対する不満」の違い(p.74)。…etc.
燃え尽き症候群は、大人だけではなく子どもや若者にも起こり得ます。ご自身の問題として読む場合でも、お子さんがいらっしゃる方や、教育する立場にある方が読む場合でも、有用な内容となっています。一部、因子分析のお話も出てきますが、因子分析がわからなくても理解できるように説明されているので、ぜひ読んでみてください。
TEXT by 武内三穂
図書館内イメージ画像 by IdaT from Pixabay


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